魔王と王女の物語
それからラスは王子との馴れ初め話を聞かせてもらった。


リンゴを喉に詰まらせて死んでしまったスノウを蘇らせた隣国の王子は、

スノウが話している間始終熱い瞳で妻を愛しげに見つめていて、


ラスはそんな2人の様子に憧れてぽうっとなってしまっていたが…

王子以外にもスノウを熱い眼差しで見つめている7人の小人のことがコハクにはおかしくて仕方がなくて、


ラスから“コー、お話の邪魔をしないで!”と言われてぷらぷらとバルコニーを歩きながら、


口をしばらくもごもごさせて…

そして何かを吐きだした。


「あの女…チビを殺そうとしやがった」


――コハクの手を濡らしたのは…緑色の液体だった。


スノウがリンゴに仕込んだ毒――


毒に対する耐性がなければあっという間に死に至るほどの毒の量だった。


「性悪女め…自分より美しい女は死んでしまえ、か?俺が止めを刺すか…」


いつの間にか城を半周して人気がない所を歩いていた時…


「コハク…様?」


「こんな所で2人で居る所を見られたら王子と小人たちが黙っちゃいないぜ」


「あら…うふふ、逆ですわ。“仲間が増えた”と言って喜んでくれるでしょう。コハク様…私、あなたのことを好きになったの」


身体のラインにぴったりとくっつくドレスを纏ったスノウが豊満な胸を押しつけてきて、


色ぼけ魔王の秀麗な美貌の唇が吊り上り、スノウの顎をつっと人差し指で撫でて上向かせると、期待したスノウが黒瞳を閉じて待ち受ける。


だが


「お前なんかお呼びじゃねえんだよ、ブース」


「な、んですって…!?」


誰もが羨む美貌に豊満な身体――


王子も7人の小人も、この身体に溺れてあっという間に下僕になったというのに…


コハクのその言葉はスノウのプライドを大きく傷つけた。



「ラス王女はあなたの愛に気付いている様子もないけれど…つらいわね」


「チビは面白いだろ?誰かさんみたいに擦れてないところがいいんだよなー」



わざとまた気に障るようなことを言って身を震わせるスノウを放置プレイし、

ぷらぷら歩きながらラスの下へと戻った。

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