魔王と王女の物語
「チビ、寝たのか?」


ベッドに腰掛けると身体が沈み、ぎし、と音を立てたが、ラスはすやすやと寝たままだった。


寝顔を隠している金色の髪を払い、可愛い寝顔が見えた時、


ちゅっと頬にキスをして、勝手にベッドに潜り込んでラスを抱きしめる。


…実はもう随分前からラスが寝たのを見計らって添い寝を決行していた色ぼけ魔王は、驚くほどの優しい手つきで髪を撫でた。


「おいこら、俺は今日お前とヤる気満々だったんだぞ。16歳になったんだろ?もう俺、我慢できねんだけど」


「ん…コー…?うるさい…」


――ラスが薄目を開けてにやにや笑っているコハクを確認すると、

そこで普通は“キャー!”という反応があるはずなのに…


コハクが無理矢理腕枕をしていた腕にり頬を摺り寄せると寝言のように呟いた。


「コーが居なくってちょっと寂しかった…」


「おお?俺の偉大さがやっとわかったか。…チビ?」


「すう…すう…」



また眠ってしまったラスの額を軽く小突き、

ラスの許可なくお尻や腰を撫でつつそれでとりあえず満足したコハクは欠伸をしてラスの寝顔に見入った。


――さっきまではスノウと一戦交えていて、

馬鹿みたいに声を上げて鳴くスノウを嘲笑うような目で見ながら抱いてやったにも関わらず、


スノウはそんなコハクに身も心も奪われて、何度も懇願してきた。


“私と2人で暮らしましょう!”


――性質の悪いジョークを真に受けるはずがなく、もしそれが本音だったらもっと性質が悪い、と思いながらもとりあえずすっきりして、


そしてラスの所へ戻ってきたというのに…


“鳴かせたい女ランキング”No.1のラスは、口を半開きに開けて無邪気に眠っている。


「…まあ、まだ影のままだし、チビを抱くなら本体に戻ってからかな。それっていつだよ…おい、お前にしか俺の棺の封印は解けないんだぞ」


カイに呪いをかけた時、そう願をかけたため、ラス以外自分の本体が入っている棺を開けることはできない。


…つまり、ラスをあの針山の城まで連れていかないと、復活できないのだ。


「チビ、来いよ。俺の城に」


俺の花嫁になってくれ。

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