魔王と王女の物語
その頃ベッドの中では…

ラスがお尻をふりふりしていた。


「あーーーーっ!チビ、やめろって!!」


「どうして?寒いしくっついてる方があったかいでしょ?」


「駄目!俺の腰にあたってんの!爆発するだろが!」


――相変わらず爆発寸前の魔王はなんとかラスを寝かせようとしていたのだがなかなか眠ってくれず…

夜も更け、ベッドもひとつしかないので仕方なく…いや、うきうきしながら一緒のベッドで横になっていたのだが…


拷問に近い目に遭っていた。


「コー、外は雨が降ってるの?雨の音好き」


部屋には灯りはついておらず、色ぼけ魔王にとっては絶好のチャンスでもあったのだが…

身体はまだ取り戻してないし、ラスは血が足りずにしきりに寒がる。

風呂に入れてやりたかったが、それでは自分が爆発してしまいそうだし…


葛藤の末、脚に脚を挟んで温めてやりながら抱き寄せて密着した。


「そういやチビは雨が好きだよな。よく塔のてっぺんまで付き合わされたなあ」


「聴いてると落ち着くの。でも今はコーの心臓の音のが落ち着くかも…」


胸に頬を摺り寄せてきて心臓の鼓動を聴いているラスの頬を指先で撫で、顎を取ると上向かせた。


「よくここまで泣き言言わずに来たよな。チビは案外根性あるぜ」


「そう?私は最初から最後までずっと楽しかったんだけど。ティアラとグラースにも会えたし。でも…お別れなんだね」


これからはグリーンリバーで一緒に暮らしてゆく。

ある程度ラスが色々成長するまでは不死の魔法はかけないと約束したので、結婚式を挙げるのが先になるだろう。


「結婚式ね。ふふふふふ、チビのドレス姿……やべえ!妄想万歳!」


「お父様やお母様も説得しなきゃ。絶対立ち会ってもらいたいの。絶対お父様とウェディングロードを歩きたいの!」


唇を尖らせたラスの両頬をむにっと引っ張ると、カイが号泣している姿を想像して性格がねじ曲がった魔王が意地悪気に笑った。


「泣かせろ泣かせろ。あー楽しみ。色々楽しみだなー」


――ラスがじっと唇を見つめていた。

コハクは意地悪をせずに、そっと唇を重ねた。

壊れ物を扱うかのように――

< 372 / 392 >

この作品をシェア

pagetop