魔王と王女の物語
本来ならば夜も更け、照明を消した暗い部屋で…というのがラスに対する配慮なのだろう。


だがそれまで待っていられない。

本体に戻ったと同時に今まで抑えつけてきていた感情が爆発し、結果こうして太陽の下で一糸纏わぬラスを抱きしめていた。


――ラスの綺麗な傷ひとつない身体に唇の痕を刻み込み、言葉でラスを熱に浮かせ、何度もキスをした。

息の上がるラスは可愛らしく、声を我慢するように指を噛み、その指を引き寄せてぺろりと舐めるとさっき以上に顔が赤くなった。


「コー、どうしよう…むずむずするよ…」


「俺も。チビ…いいよな?もう俺…我慢しなくていいよな?」


同じように服を脱ぎ、同じように一糸纏わぬ姿になるとラスが目を逸らし、背中を向けた。


「や、やっぱり駄目って言っても…駄目?」


「駄目って言っても駄目。絶対無理。駄目!絶対!」


背中を向けながらもラスの肩が動き、笑っているのがわかった。

少し緊張が解けたようで、肩を引いてまた覆い被さると、ラスが笑いながらコハクの両頬を引っ張った。



「じゃあいいよ。我慢しなくっていいよ。コー…赤ちゃん沢山作ろうね。このお城中子供の声が絶えない家族を作ろうね」


「ん。俺頑張るし。チビこそ根を上げて逃げ出すなよ。俺は粘着質だからどこまでもチビを追いかけるからな」


「ふふふっ、うん、わかった。大切にしてね、コー…」



――ゆっくりと身体を沈めると、ラスの眉根が絞られて痛みに耐えているのがわかった。


ますます愛しさが込み上げたコハクは目尻に伝う涙を唇で吸い取り、つらそうに息を吐いたラスを心配そうに見つめた。


「チビ…大丈夫か?」


「う、ん…。剣で刺された時に比べれば…全然痛くないよ…」


「そっか…。チビ…これで俺の夢も叶った。チビをこうして抱きたくて、それがずっと俺の夢だったんだ」


「ほん、と…?早く言ってくれればよかったのに…」


「言ってたし。チビが気付いてくれなかったんじゃんか」


笑い合い、一緒に太陽を見上げた。



「ここで暮らして行こう。笑いの絶えない家族を作ろう。永遠に、愛し合おう。永遠に、一緒だ」



誓い合った。
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