魔王と王女の物語
それからは痛みが消えたラスと何度も愛し合い、


本当に今この瞬間新しい命が宿ってくれたらどれだけ嬉しいか、という思いでラスを愛し、


ラスの喘ぎ声が漏れる度に高揚感は高まり、コハクは自身を止めることができないでいた。


「はぁ、はぁっ」


荒い息が重なり、それでもラスは“もうやめて”と言わなかった。


16年間…16年間もの間、待っていてくれたのだ。


もし自分が生まれてこなかったらコハクはどうなっていたのだろうか?


父が子供を作らずに一生を終えたら…

コハクはあの棺の中で眠り続けていたかもしれない。


そう考えたらいっそうこの男が愛しくなってしまい、頬に伝う汗を指先で拭った。


「コー、すごい汗…」


「チビこそ…。ごめんな、優しくしてやれたの…最初だけだったな」


「ううん、そんなことないよ。でもここ暑いよね。ここじゃなきゃ駄目だったの?」


「うん、駄目だったの。ここでチビを抱きたかったんだ。暑いか?城の中入るか?」


「ううん。もうちょっとコーと…こうしてたいな」


…まさかのラスからのおねだり。


早速爆発寸前になった魔王がぱちんと指を鳴らすと金色の花々がふわりと浮かび、次々とレースのように編み込まれ、ひとつの大きな布団のようになった。


それを頭から被って少しだけ涼しくなると、金色の花の甘い香りを楽しむようにラスが大きく深呼吸をしてコハクの背中に腕を回した。


「これからは毎日チビを抱きたいな。駄目か?」


「いいよ、だってこれって…ふわふわするし、あったかいし…大切にされてるって思えるから」


「今までだって大切にしてきたし。爆発するの我慢してたし。チビにはまだ教えなきゃいけないことが沢山あるなあ」


くすくす笑い合うと、ラスが突然耳元で囁いてきた。



「ねえコー…私のこと、ラスって呼んで?」


「…じゃあ俺のこともコハクって呼ぶか?」


「うん、いいよ」



――また身体を重ね合い、息を上げながら互いの名を呼び合った。



「コハク…っ、愛してるよ…!」


「ラス…俺もお前を愛してる。ずっとずっと、お前を…ラスだけを…」

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