魔王と王女の物語
ティアラに洗いざらい喋ってしまったラスはティアラと2人でソファに座り…悶えていた。


「そう…やっぱり魔王は…その…すごかったのね」


「すごいかどうかコーしか知らないからわかんないけど…でもとっても大切にしてくれたよ」


話を聴くだけでお腹いっぱいになったティアラはラス以上に顔を赤くしながらラスの両手を握った。


「おめでとうラス。ようやく呪いが解けたのね」


「ううん、コーのお祝いをしなきゃ。コーが本体に戻れたんだよ、さっきまで一緒に太陽の下に居たんだよ。すっごく幸せだったの」


心底幸せそうな表情で先程の出来事を振り返るラスは美しく、きっと魔王に恋をして愛されたラスはもっと美しくなっていくのだろうと思うと感慨深くなった。


「ティアラもリロイと幸せにならなきゃ。他の人は駄目。絶対結婚してね」


「…いいえ、私はリロイを諦めるわ。諦めて、お母様たちが決めた方と結婚して国を継ぐの。それが私の王女としての使命だから」


――本来ならば、ラスもそうなる運命だったのだ。

だがラスが選んだ手は、魔王の手。

リロイは“今は幸せかもしれないけどいずれ不幸になる”と言ったが、コハクはもうかつての“魔王”ではない。

ラスと愛し合い、幸せを掴んだコハクとラスはきっとずっと一緒に一生を過ごすことだろう。


「羨ましいわ。ラス、沢山遊びに来てね。友達と呼べる人はあなたしか居ないから」


「うん!ティアラ…できればリロイと結婚してほしいの。よく考えてね。ね、お腹空かない?」


常に腹減らしのラスと一緒に螺旋階段を下りているとコハクが欠伸をしながら部屋から出て来た。


「いい運動したら腹減ったなー」


「へ、ヘンタイ!」


「ああ、ヘンタイだけど何か?」


早速ラスを抱っこして離さない魔王を横目で見ながら食堂と思しき食卓の間に入るとそこにはすでに料理がずらりと並んでいた。


「コハク様、用意できました!」


ベルルが小さな姿でコハクの回りを飛び回り、ラスが捕まえようとするが触れることすら適わず面々はテーブルについた。


「もう揃っていたのか」


リロイとグラースが入ってきた。

…目が合う。
< 387 / 392 >

この作品をシェア

pagetop