魔王と王女の物語
涙を見られまいと必死に我慢していたのだが、結局大粒の涙があふれ出してしまい、コハクがラスを抱き上げて膝に乗せた。


「泣くなって。永遠の別れじゃねえんだし」


「だって…リロイはずっと一緒に居てくれたの。リロイ…絶対白騎士を続けてね。お父様とお母様と国民と…国を守ってね」


「…うん、よく考えてから決めるよ。ラス、泣かないで、僕も悲しくなってくるから」


「うん、わかった…」


顔をくしゃくしゃにして微笑んだラスの精一杯の笑顔はグラースやティアラの胸をも熱くさせ、コハクはラスの顔を胸に押し付けると立ち上がった。


「悪いな、後は好きにしててもいいぞ。俺はチビを落ち着かせてから戻って来る」


「言われなくても好きにやるからお前は戻って来なくていいぞ。じゃあな」


逆にグラースからぞんざいな態度で追い払われるとティアラとリロイが苦笑してラスに手を振った。


「おやすみ。明日の朝僕たちの出発前には起きていてね」


「うん。おやすみなさい…」


瞳を真っ赤にしながらラスが手を振り、コハクに抱っこされながら螺旋階段を上がっている間ずっとコハクは黙っていた。


「コー、どうしたの?」


「…いや、なんでもない。カイをどうやって説得しようかって考えてた」


「イエローストーン王国を再建できたらきっとお父様たちも認めてくれるよ。コー、一緒に頑張ろ?」


「そうだな、じゃあいっちょ気張るかー」


自室へ戻り、ラスをベッドの上で下すとダイニングへ行き、棚からアルコール度の低い野いちごのワインボトルを取り出すとラスにワイングラスを手渡した。



「別れはつらいよな。俺もローズマリーの家から追い出された時はつらかった。その時と同じ気持ちだと思うとちょっと俺もつらい」


「つらいけど永遠の別れじゃないって言ったのはコーだよ?ねえコー…もう寝よ?続き…したいんでしょ?」


「へ、へえ…チビが積極的だとちょっと…かなり恥ずかしいんだけど」


「照れてるコー可愛い。耳が真っ赤だよ?」



ラスからキスをしてきて、不器用に絡めてきた舌に一気に熱が高まる。


そうしてその夜は互いに夢中になり、共に過ごした。
< 389 / 392 >

この作品をシェア

pagetop