魔王と王女の物語
ああ、
これが死ぬってことなのか…?
――痛みは感じない。
ただ止めどなく左胸から溢れて来る血を見下ろしながら、ゆっくりと膝から崩れ落ちた。
ラスを…独りにさせて大丈夫だろうか?
ひとりでは何もできないあのお姫様の面倒は誰が見てくれるのだろうか?
ああ、そうか。
こいつか――
「やっぱり…駄目だったか…」
長年探し求めていたものを手に入れたと思ったが――一瞬の儚い夢だった。
「ラスは連れて帰る。僕がラスを幸せにしてみせる」
「…ふふ、小僧…お前にそれができるか…?見物だが…見ることも、もう無理か…」
リロイと対峙した時1度諦めた命だ。
何を悔やむことがある?
これで本当に…
ラスの全てを手に入れることができたじゃないか。
そう思うと逆に晴れやかな気分になり、震える手で自ら魔法剣を左胸から抜くと、鮮血が噴き出した。
「見届けることはできねえが…小僧、お前に任せた。チビを…ラスを幸せにしてやって………く、れ……………」
――ふっと笑ったコハクの表情はやわらかく、急にリロイの魂が覚醒すると目の前の光景に…絶句した。
「ぼ、僕は…何を…!?」
「た、のんだぞ…小僧…」
血の海にコハクが倒れ込む。
もう上がらない表情は安らかで、部屋の中から物音がして振り返ったが…ラスはまだ眠っていた。
「ま、魔王…僕は…!」
目を戻すと――
さっきまで血の海に倒れていたコハクの姿は…消えていた。
「僕は…僕はどうすれば…!」
「ん…コー…?」
「!」
――ラスの声。
そうだ、部屋を訪れた時に…身体に鮮やかな唇の痕を沢山つけられたラスを見た時に…意識がなくなった。
この手で、魔王を殺してしまったのだ。
リロイの魂は悲鳴を上げた。
「魔王はどこに…!?」
どうすれば、元に戻る――?
これが死ぬってことなのか…?
――痛みは感じない。
ただ止めどなく左胸から溢れて来る血を見下ろしながら、ゆっくりと膝から崩れ落ちた。
ラスを…独りにさせて大丈夫だろうか?
ひとりでは何もできないあのお姫様の面倒は誰が見てくれるのだろうか?
ああ、そうか。
こいつか――
「やっぱり…駄目だったか…」
長年探し求めていたものを手に入れたと思ったが――一瞬の儚い夢だった。
「ラスは連れて帰る。僕がラスを幸せにしてみせる」
「…ふふ、小僧…お前にそれができるか…?見物だが…見ることも、もう無理か…」
リロイと対峙した時1度諦めた命だ。
何を悔やむことがある?
これで本当に…
ラスの全てを手に入れることができたじゃないか。
そう思うと逆に晴れやかな気分になり、震える手で自ら魔法剣を左胸から抜くと、鮮血が噴き出した。
「見届けることはできねえが…小僧、お前に任せた。チビを…ラスを幸せにしてやって………く、れ……………」
――ふっと笑ったコハクの表情はやわらかく、急にリロイの魂が覚醒すると目の前の光景に…絶句した。
「ぼ、僕は…何を…!?」
「た、のんだぞ…小僧…」
血の海にコハクが倒れ込む。
もう上がらない表情は安らかで、部屋の中から物音がして振り返ったが…ラスはまだ眠っていた。
「ま、魔王…僕は…!」
目を戻すと――
さっきまで血の海に倒れていたコハクの姿は…消えていた。
「僕は…僕はどうすれば…!」
「ん…コー…?」
「!」
――ラスの声。
そうだ、部屋を訪れた時に…身体に鮮やかな唇の痕を沢山つけられたラスを見た時に…意識がなくなった。
この手で、魔王を殺してしまったのだ。
リロイの魂は悲鳴を上げた。
「魔王はどこに…!?」
どうすれば、元に戻る――?