魔王と王女の物語
「チビ。おいってば」


何度呼びかけても返事をしないラスがずんずんと部屋に向かい、

リロイもその後を追ったが、ラスに止められた。


「ひとりになりたいの」


「影はどうするの?」


「…コーは影だからいいの。また後で部屋に来てね」


「わかった。また後で」


リロイが手の甲にキスをして去っていくと、

その光景をいらっとしていたコハクがラスの頬を突いた。


「いつまで膨れてるつもりなんだよ。お前にしちゃ珍しいけど、俺のせいか?」


「…コーが私から離れて行くとか言うからだよ!」


ついに本音が飛び出して、


コハクは両手で顔を覆い、その場にへなへなと座り込んだ。


「やべ、かわい…」


「馬鹿!コーの馬鹿!」


部屋に戻って行くラスの後ろからコハクもついて行き、

口元を大きな手で覆って赤い顔を隠しながらまた聞いてみる。


「俺と離れ離れになるのいや?それとも嬉しい?」


「…嬉しくなんかないもん!コーはいつだって一緒に居てくれたのに…」


ベッドにダイブし、突っ伏したまま動かなくなったラスの髪を撫でながらコハクもベッドに腰掛けて、


リロイがキスした反対側の手の甲に何度もキスをしてラスの気を引く。


「俺にお節介されなくなるし、エロいことも言われなくなるし、いいこと尽くめだろ?何が不満なんだよ」


「コーが影から出てくのが不満なの!そんな旅ならしたくないもん!お節介とかされたことないし、コーが離れてくのはやだ…」


腰に腕を回してぎゅうっと抱き着いてきたラスに、最高潮にむらむらが高まり、


また一緒にベッドに入りながらドレスの裾を捲り上げ、すべすべの白い太股に手を這わせた。



「なにしてるの?」


「お前今可愛すぎ。な、絶対悪いようにしないって」


「今私本当に怒ってるんだからからかわないで!」



結局また本気が通じず、これだけは!と心に決めたコハクはラスの唇にキスをした。


「本当は大人のキスがしたいんだけどなあ。まだ早いか」


「なんで今口と口をくっつけたの?コーのやることよくわかんない」


少し笑った。

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