魔王と王女の物語
それからラスは朝までぐっすり眠って、

コハクはいつものように窓辺に寄ると帰って来たベルルを肩に乗せた。


「あたし…王女と一緒に旅なんかしたくないな…」


「なんでだよ、チビを城に連れてって棺を開けさせてあいつを花嫁にしてハッピーエンド!大団円じゃないか」


長い前髪を耳にかけて笑ったコハクにドキドキしながらベルルは小さな小さな唇でコハクの頬にキスをした。


「おい、やるなら大きくなってからやれ。俺は欲求が溜まってんだ、今ならサービスしとくぜ」


「ほ、ほんとですか!?」


上ずった声を上げていざ大きくなろうとした時…


「…あれ…?もう、朝…」


ぼんやりしながら起き上がったラスは低血圧。

金の長い髪はぼさぼさの鳥の巣状態で、捲れたネグリジェからは白い太股が見えていた。


「チビ、もう起きて準備しないと楽しい旅が楽しくなくなるぞ」


「あ…そっか…、えと、着替え…」


のろのろとベッドから降りてぼんやりした顔のまま目が合うと、にこーっと笑った。


「やべっ、朝から俺元気なんだけど!」


「…色ぼけ」



また暴言を吐いてベルルが飛び去り、コハクは腕を組んでまだぼんやりしているラスに顎で命令する。


「早く脱げよ」


「あ、うん…。コー…私まだ眠たい…。もうちょっと寝ちゃ駄目かな…」


「駄目。仕方ないから着替えを手伝ってやる」


――ネグリジェを脱がせると、陽光に照らされたラスのまだ未完成の身体はやけに艶めかしく、色ぼけ魔王は鼻を押さえながらよろめいた。


「鼻血出る!」


「コー?!大丈夫!?」


覚醒したラスが、うずくまるコハクの横でしゃがんで顔を覗き込んでいると…


「ラス、入るよ。おは………よ!?ラス!??」


「あ、リロイ!コーが“鼻血が出る”って…」


「ちょ、ラス、なんでそんな格好をして…何か着て!」


すでに身支度万端のリロイが、裸同然のラスの格好に、コハクのように“元気”になりかけて、背を向けた。


「それよりコーが…」


「いいからお前は服着ろ!小僧に肌を見せんな!」


…理不尽に怒られて、頬を膨らませた。
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