監禁恋情
2人が、今後について話しているのを聞きながら、さくらはゆっくりと目を閉じた。

紀一は目覚めてから、本当に人が変わったようになった。
なにがあったのか、目覚めた少しあとに聞いたときに、「許しを得た。」と、紀一は語った。


結局、自分は愛という女性について、何も知らない。


だけど、彼が許しを得たというからには、本当にそうなんだろうと思う。


…ありがとう。


さくらは、心の中で静かに礼を言った。

「さくら?」

名前を呼ばれて、ゆっくり目を開いた。

優しい微笑みに、つられて微笑む。

紀一に近づこうと、一歩進んで、さくらの視界は、そのままぐらりと揺らいだ。


紀一の声を遠くに聞きながら、
そのまま意識を手放した。
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