BLack†NOBLE
『謝るのは、アイツのほうだろ。俺は、何も謝る様な事はしてない』
『意地張っちゃって! もう、クロードより瑠威の方が可愛い』
この女っ……
『ギャーーッ! 嫌ぁ! 待ってぇ』
アリシア側のドアを開いて、奴を力の限り外へ押し出そうとした。
ドアの淵に足と手を突っ張り、それを拒むアリシア。とても有名女優には見えないな。
『ひゃっ! ありえない! 瑠威、靴で背中押してるでしょっ!』
狭い車内が揺れる、あまり騒ぎを大きくすると……近隣の住人に気付かれてしまうだろ。
はやくこの女を突き落として、蔵人から彼女とパスポートを取り返したい。
何か策はないのか……
『痛いってば! 私、女優なのよ!』
『うるさい』
はやく車から降りやがれ……しぶとい女だな。最低だ。
『あっ! もうクロードの弱点教えてあげないんだから!!』
『さっきクロードには、弱点などないと言っただろ』
アリシアの体が半分だけ車外に出た。女優とは思えない鬼の形相で、ドアにへばり付いている。
『思い出したのよ! クロードには、とても溺愛してる女がいるのよ!』
『女?』