BLack†NOBLE
アパートの中は、外見より遥かに年季が入っている。階段のペンキは剥げていて、一段上がるごとにギシギシと軋む。
親しげな二人に続いて部屋に入る。
『彼女は、エミリーよ。私の友達。
エミ、彼は瑠威。クロードの可愛い弟よ』
『はじめまして、本当にオーナーにそっくり!!』
エミリーの興奮したような眼差し。それを無視してアリシアの腕を掴み壁に叩きつけた。
『きゃっ!』
『話が違う。説明してもらおうか? 俺は「ローザの元に案内しろ」と言ったはずだ。イタリア語に間違えがあったのか?』
『痛っ……そういうプレイ嫌いじゃないけど、瑠威激しいの好きなのね?』
眉間に皺を寄せたアリシア。馬鹿馬鹿しくなって、一旦腕を離すと、片手でアリシアの細い首を掴み壁に押し付けた。
エミリーの『やめて!』という小さな悲鳴が聞こえる。
『変態馬鹿女、俺は説明を求めている』
『苦し……』
アリシアの顔が赤くなっていくので、少し力を緩める。
『ローザは、パレルモよ……』
『シチリア島のパレルモか? では、何故ここに来た?』
『だって……シャワー浴びたいし、着替えしたいし……』