BLack†NOBLE
『馬鹿はおまえたちだろ』
コッグは黄色い歯をみせると汚らしく舌打ちをした。
俺は今完全に丸腰だ。何故、コッグとグレコは俺を撃たないんだろう?
『カルロ、何をしている! そいつを殺せ!』
答えは、コッグとグレコが俺を撃てないからだ。
何故なら、蔵人に命を助けられているからだ。
自分たちじゃ、手を下せない……だとすると、この会合の目的は何だ?
『蔵人がお前たちを殺さなかった理由は簡単だ。お前たちに会って、それがよくわかった』
『黒髪の腰抜けが、何を偉そうに言ってる。遺言だと思って聞いてやろうか?』
『手を汚すのが嫌だったんだろうな』
憎しみの中で、命を奪っても何も解決しない。
冷静に考えろ……コイツ等は何かを望んでいる。それは本当に権力か?
『蔵人は信じていたはずだ。お前たちが生きていても、自分にはメルフィスという組織があると。
そんな蔵人だからこそ、お前たちには絶対に負けない。お前たちは、それを理解している』