BLack†NOBLE

『ハッ! ハハハハハ! 甘いな、甘い甘いっ!

 そんな奇麗事言ってたら、死ぬぞ? わかるだろ? 我々の元ファミリーよ。一度は互いに契りを交わした仲だろ! メルフィスの本質をこの東洋人に知らしめてやれ!』



 コッグは椅子を押し倒して、勝利を確信したように拳を握り締めた。

 汚い罵声に眉をしかめると、ますます嬉しそうな顔をする。


 グレコは黙ったままだ。



『俺は大馬鹿者だ。もっと早くにクロード•メルフィスを信じてやればよかったな。

 俺は死ぬと思うか?』


 コイツらと、クロードの違いは一目瞭然だ。 こんなに陰険ではないし、姑息な真似もしない。


 メルフィスが、コッグとグレコに負けるはずがない。

 大丈夫だ。俺はただ信じればいい。

 父が育てて、蔵人が大切にしたこの組織を




『そんなこと知るか! ただ、あんな忌々しい奴信じても損するだけだ。手痛く裏切られるぞ? そうか、よかったら俺たちと手を組まないか? そうすれば、命だけは助けてやる。

 まずは靴の裏でも舐めてもらおうか』

 
 コッグが、ニッと笑うと薄気味悪い黄色い歯が顔をみせた。 話題をそらした。

 奴は、俺から視線を外し『なあ? セシル。ファミリーの統率に本当に狂いがないか教えてやれ』と言うと、大層機嫌が良さそうにハッハハと高笑いをしたが俺を撃たない。


『セシル、ドラッグは最高だろ? 新しく建てた立派な家の住み心地はどうだ?

 メルフィスの仕事をしてたら一年かけても稼げないような大金を数日で手に入れた話をしてやったらどうだ?』



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