BLack†NOBLE
『瑠威様、攻撃命令を! 数なら負けません。安心して、御命令を!』
レイジの太い声が響く。
コッグは『東洋人に同情したか』と唾を吐き出した。
後ろにいるファミリーの心に、弱い動揺を感じる。
『どうするのかな?
カルロがつかなくても、セシルは絶対に金儲けをやめない。オマエは、前からも後ろからも命を狙われているぞ?』
……大丈夫だ。絶対に大丈夫。
『セシルは、俺たちの仲間だ。メルフィスのファミリーとして、ミラノの上級幹部として働いてくれている』
はじめて後ろを振り返った。コッグとグレコに背を向けるとレイジが飛び出してきて俺の背後に立つ。
『ハハハハハ、坊ちゃんは基本的なことも知らない! 今、一瞬敵に背を向けたぞ!』
相手に失笑が起きたが、そんなことどうでもよかった。
セシルを見た。顔色は悪く、小刻みに震えている。
『今日は、信頼して連れてきた。誓いを忘れるな。
自分の血で染まった赤い薔薇が焼かれていくのを見ただろ? 』
『瑠威……』