BLack†NOBLE


「俺抜きで、楽しそうなパーティーしてるな。瑠威」


「蔵人! 死にかけてたくせに! 何しに来た!」



 日本語での会話に首を傾げながらも、ファミリーは『ボスだ!』『ボスが来た!』と歓声をあげた。

 蔵人は怪我人とは思えない機敏な動きであっという間に俺の隣にやってきた。



『クロード様、お待ちしておりました』


『レイジ、やっぱり俺の弟は、最高だろう? 皆聞いたか? 瑠威は、俺たちファミリーを深く信じている』


 マフィアとしては綺麗すぎる顔。姿勢が良く、堂々とした風貌、漆黒のスーツ。




 黒く高貴な……瞳は、力強く、
見るものを全てを惹き付ける。





 蔵人は、両手で俺の肩を掴むと頬にキスをした。



「やめろよ、気色悪い……」


 それを袖で拭いながらも、心底ホッとしている自分が情けなくなる。


 意識を取り戻して、無理にでもここに駆け付けてくれる事を期待していたわけじゃない。

 まだ青白い顔をしているのに、それを感じさせない程の圧倒的なオーラがある蔵人に安心させられただけだ。



『セシル、料理と酒を用意させろよ。

 腹が減ると、人間はイライラして上手く話し合いが進まないものだ』


 蔵人は、セシルに腕を回した。


『そうだろう? セシル』


『はい、ボス……』


『頼んだぞセシル。お前がいないと困るんだよ』


 蔵人は嬉しそうに綺麗な白い歯を見せて笑った。


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