BLack†NOBLE
正直、俺は無謀な事をしたと思う。
腐ったマフィア相手にまともな話し合いなんか意味がない。
それでも、ただ必死だ。メルフィスの強さと、結束力を信じている。
蔵人の束ねたファミリーを信じている。
「瑠威、いつ撃たれるかわからないぞ。何故こんな無茶をした?」
「アイツらは撃たないだろ」
「生意気な弟だ。茉莉果が泣く顔は見たくない。レイジから離れるなよ」
蔵人は俺の右手をひっくり返した。
「誓かったか……」そうポツリと漏らすと、曖昧な笑みを浮かべた。
部屋のテーブルには大きなクロスが掛けられて、ホテルの給仕人が次から次へと料理と酒を運んでくる。
コッグとグレコは、居心地が悪そうにヒソヒソと囁きあっていた。
ここにいる全員が、完全に蔵人ペースに巻き込まれていく。