主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【完】
息吹と山姫、そして雪男が仲良く庭の花に水遣りをしている姿を縁側からぼんやりと見つめていた主さまは舌打ちをして悪態をついた。
「あの餓鬼…色目ばかり使いやがって」
「そなたもその色目とやらを使ってみてはどうだ?普通の女ならば瞬殺だが、さて息吹はどうだろうねえ」
「!誰が色目なんか…」
とか言いつつ少しその気になってしまい、咳払いをすると自室の襖を開けた。
「俺は寝る」
「どうぞご勝手に。私も息吹を連れて帰るとするかねえ」
「…なに?1人で帰れ」
「なんだと?しばらくの間はここに預ける、とは言ったがここに一生住まわせるとは言ってないぞ」
「…」
邪魔者を平安町に去らせた後はゆっくり息吹を…と画策していた主さまの目論見は脆くも瓦解し、思いきり肩が落ちるとまた晴明のにやつきが止まらなくなった。
「息吹を嫁に欲しいならば素直にそう申せ。私は息吹の父代わりだぞ」
「…お前の許可など要るか。そもそも息吹を拾ったのは…」
「さあ息吹、父様と平安町に帰ろうか」
言い募る主さまを無視した晴明が腰を上げると、息吹もまた平安町の晴明の屋敷へ帰るとは思っていなかったのか瞳を丸くした。
「え?帰る…んですか?」
「そうだよ?私はなにかおかしいことを言ったかい?」
仏頂面の主さまと晴明を見比べ、息吹としては晴明の言葉が絶対なので頷いて手にしていた柄杓を雪男に渡した。
「…帰っちまうのか?」
「うん、でもまた遊びに行くから。雪ちゃんも遊びに来てね、あと…主さまも」
とってつけたような言い草に腹の立った主さまは瞳も合さず返事もしなかった。
「態度が悪い奴だな。さあ息吹、今宵は父様のために料理の腕前を披露しておくれ」
「はいっ」
――何度か息吹と瞳が合ったが、不器用全開の主さまは引き留めることもできずに自室へと籠もってしまった。
「息吹!すぐ会いに行くからな!」
その点雪男は真っ直ぐだ。
それがまた癪に障り、主さまを苛立たせたが後の祭り。
…本当は両想いなのに、不器用な2人がそれに気付くはずもなかった。
「あの餓鬼…色目ばかり使いやがって」
「そなたもその色目とやらを使ってみてはどうだ?普通の女ならば瞬殺だが、さて息吹はどうだろうねえ」
「!誰が色目なんか…」
とか言いつつ少しその気になってしまい、咳払いをすると自室の襖を開けた。
「俺は寝る」
「どうぞご勝手に。私も息吹を連れて帰るとするかねえ」
「…なに?1人で帰れ」
「なんだと?しばらくの間はここに預ける、とは言ったがここに一生住まわせるとは言ってないぞ」
「…」
邪魔者を平安町に去らせた後はゆっくり息吹を…と画策していた主さまの目論見は脆くも瓦解し、思いきり肩が落ちるとまた晴明のにやつきが止まらなくなった。
「息吹を嫁に欲しいならば素直にそう申せ。私は息吹の父代わりだぞ」
「…お前の許可など要るか。そもそも息吹を拾ったのは…」
「さあ息吹、父様と平安町に帰ろうか」
言い募る主さまを無視した晴明が腰を上げると、息吹もまた平安町の晴明の屋敷へ帰るとは思っていなかったのか瞳を丸くした。
「え?帰る…んですか?」
「そうだよ?私はなにかおかしいことを言ったかい?」
仏頂面の主さまと晴明を見比べ、息吹としては晴明の言葉が絶対なので頷いて手にしていた柄杓を雪男に渡した。
「…帰っちまうのか?」
「うん、でもまた遊びに行くから。雪ちゃんも遊びに来てね、あと…主さまも」
とってつけたような言い草に腹の立った主さまは瞳も合さず返事もしなかった。
「態度が悪い奴だな。さあ息吹、今宵は父様のために料理の腕前を披露しておくれ」
「はいっ」
――何度か息吹と瞳が合ったが、不器用全開の主さまは引き留めることもできずに自室へと籠もってしまった。
「息吹!すぐ会いに行くからな!」
その点雪男は真っ直ぐだ。
それがまた癪に障り、主さまを苛立たせたが後の祭り。
…本当は両想いなのに、不器用な2人がそれに気付くはずもなかった。