主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【完】
その夜、息吹と晴明は2人きりで過ごし、酒を飲み交わし、約束通り同じ床について眠ったわけだが…
「…ろ。おい、起きろ」
何者かがしきりに声をかけてくるのでうっすらと瞳を開けると、傍らには主さまが仏頂面で座っていた。
「なんだ十六夜…まだ早朝ではないか…」
「…何故息吹と寝ているんだ?」
「ああ、これか…」
――晴明の隣には、晴明の身体にしっかり抱き着いて眠っている息吹が。
眉がぴくぴく動きっぱなしの主さまをいじるのはとても面白いが、晴明としても愛娘との静かな2人暮らしを早速邪魔されて眉をひそめた。
「確かに遊びに来いとは言ったがこんなにもすぐ来るとは思っていなかったが」
「…そもそも息吹を連れ帰る話自体俺は聴いていなかったんだぞ。問い質しに来て何が悪い」
「生家は幽玄町のそなたの屋敷かもしれぬが、今はこの屋敷が息吹の住むべき場所。私同様に妖と人の両方と慣れ親しむべきだ。それとも幽玄町で暮らすべきだと考えているのか?」
息吹を独占したがる主さまの心情もわからなくはないが、まだまだ息吹を手放すつもりのない晴明はむくりと起き上がると息吹の肩を揺らした。
「息吹、客人だ起きなさい。羨ましそうな瞳で見られているぞ」
「父様……まだ眠たい…」
瞳は開かず、床から出ようとする晴明の腕を取っていやがる息吹にまた主さまの機嫌が斜めになって口を開きかけた時――
「こら息吹!いつもならもう朝餉の支度をしている時間じゃないかい?」
「!は、母様…!」
その声の持ち主の登場は晴明にとっても意外で、振り向くと縁側で仁王立ち状態の山姫が立っていた。
息吹が最も恐れているのはこの山姫で、慕ってはいるが怒るとものすごく怖い山姫の登場にわたわたしながら起き上がるとようやく主さまの存在に気が付いた。
「あ、主さまだ」
「…」
髪はぼさぼさ、浴衣も着崩れていて寝ぼけ眼の息吹は少しだけ色っぽく、主さまは目を逸らすと襟元を正した。
「俺も食う」
「じゃあ支度してきます。母様手伝ってください」
「いいよ。さ、顔洗っておいで」
晴明、にやり。
「…ろ。おい、起きろ」
何者かがしきりに声をかけてくるのでうっすらと瞳を開けると、傍らには主さまが仏頂面で座っていた。
「なんだ十六夜…まだ早朝ではないか…」
「…何故息吹と寝ているんだ?」
「ああ、これか…」
――晴明の隣には、晴明の身体にしっかり抱き着いて眠っている息吹が。
眉がぴくぴく動きっぱなしの主さまをいじるのはとても面白いが、晴明としても愛娘との静かな2人暮らしを早速邪魔されて眉をひそめた。
「確かに遊びに来いとは言ったがこんなにもすぐ来るとは思っていなかったが」
「…そもそも息吹を連れ帰る話自体俺は聴いていなかったんだぞ。問い質しに来て何が悪い」
「生家は幽玄町のそなたの屋敷かもしれぬが、今はこの屋敷が息吹の住むべき場所。私同様に妖と人の両方と慣れ親しむべきだ。それとも幽玄町で暮らすべきだと考えているのか?」
息吹を独占したがる主さまの心情もわからなくはないが、まだまだ息吹を手放すつもりのない晴明はむくりと起き上がると息吹の肩を揺らした。
「息吹、客人だ起きなさい。羨ましそうな瞳で見られているぞ」
「父様……まだ眠たい…」
瞳は開かず、床から出ようとする晴明の腕を取っていやがる息吹にまた主さまの機嫌が斜めになって口を開きかけた時――
「こら息吹!いつもならもう朝餉の支度をしている時間じゃないかい?」
「!は、母様…!」
その声の持ち主の登場は晴明にとっても意外で、振り向くと縁側で仁王立ち状態の山姫が立っていた。
息吹が最も恐れているのはこの山姫で、慕ってはいるが怒るとものすごく怖い山姫の登場にわたわたしながら起き上がるとようやく主さまの存在に気が付いた。
「あ、主さまだ」
「…」
髪はぼさぼさ、浴衣も着崩れていて寝ぼけ眼の息吹は少しだけ色っぽく、主さまは目を逸らすと襟元を正した。
「俺も食う」
「じゃあ支度してきます。母様手伝ってください」
「いいよ。さ、顔洗っておいで」
晴明、にやり。