主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【完】
求婚されたのはなにもこれがはじめてではない。
実は今までも何度か求婚されたことはあったのだが、完璧なようでいて抜けているところのある主さまが心配で婚期を逃していたのは確かだ。
また山姫の審美眼は高く、主さまのように顔も整っていて力のある妖しか興味がないので、山姫を振り向かせる男もまたなかなか居なかった。
「あの青二才…なんであたしがあいつの嫁なんかに…」
「え?母様なにか言った?あ、お鍋が噴いてるっ」
主さまの方もまた息吹を追って井戸に向かったはいいものの声をかけることができずにすごすごと戻って来ており、相変わらずのへたれっぷりを発揮していて、ため息。
「息吹…あんたには幸せになってほしいねえ」
「私よりも母様はどうなの?その…す、好きな人は居ないの?」
「あたしかい?そうだねえ…主さまがもうちょっと強引で堂々としていたら好きになっていたかもねえ」
「え?!」
つい驚きの声を上げて手から箸がぽろっと落ちた息吹が瞳を見開いて口をあわあわさせ、そんな反応を待っていた山姫はからから笑うと息吹の額を突いた。
「でも主さまは強引じゃないし堂々ともしてないしお呼びじゃないよ」
「そ、そう?じゃあ…晴明様は?晴明様なら堂々としてるし格好いいし、完璧でしょ?」
…またもや忘れたい名前が出てきてしまい、息吹と瞳を合わせないようにてきぱきと準備をするとお尻を叩いた。
「全然完璧じゃないよ、あんな青二才願い下げだね。さ、これを運んでおくれ」
「はあい」
不服そうな返事をしながらも笑顔の息吹と一緒に居間へ移動すると、主さまと晴明が何やら小声でいがみ合いをしていた。
「連れて帰る」
「いいや、息吹はここで暮らすのだ」
父代わりの男2人が額を突き合わせて争い、山姫が咳払いをするとやっと見られていることに気付いたのか主さまが庭に目を移した。
「ねえ主さま、雪ちゃんは?雪ちゃんの分も作ったんだけど」
「…後から来る」
「じゃあ冷ましておかなきゃ」
…主さまには敵が多すぎる。
実は今までも何度か求婚されたことはあったのだが、完璧なようでいて抜けているところのある主さまが心配で婚期を逃していたのは確かだ。
また山姫の審美眼は高く、主さまのように顔も整っていて力のある妖しか興味がないので、山姫を振り向かせる男もまたなかなか居なかった。
「あの青二才…なんであたしがあいつの嫁なんかに…」
「え?母様なにか言った?あ、お鍋が噴いてるっ」
主さまの方もまた息吹を追って井戸に向かったはいいものの声をかけることができずにすごすごと戻って来ており、相変わらずのへたれっぷりを発揮していて、ため息。
「息吹…あんたには幸せになってほしいねえ」
「私よりも母様はどうなの?その…す、好きな人は居ないの?」
「あたしかい?そうだねえ…主さまがもうちょっと強引で堂々としていたら好きになっていたかもねえ」
「え?!」
つい驚きの声を上げて手から箸がぽろっと落ちた息吹が瞳を見開いて口をあわあわさせ、そんな反応を待っていた山姫はからから笑うと息吹の額を突いた。
「でも主さまは強引じゃないし堂々ともしてないしお呼びじゃないよ」
「そ、そう?じゃあ…晴明様は?晴明様なら堂々としてるし格好いいし、完璧でしょ?」
…またもや忘れたい名前が出てきてしまい、息吹と瞳を合わせないようにてきぱきと準備をするとお尻を叩いた。
「全然完璧じゃないよ、あんな青二才願い下げだね。さ、これを運んでおくれ」
「はあい」
不服そうな返事をしながらも笑顔の息吹と一緒に居間へ移動すると、主さまと晴明が何やら小声でいがみ合いをしていた。
「連れて帰る」
「いいや、息吹はここで暮らすのだ」
父代わりの男2人が額を突き合わせて争い、山姫が咳払いをするとやっと見られていることに気付いたのか主さまが庭に目を移した。
「ねえ主さま、雪ちゃんは?雪ちゃんの分も作ったんだけど」
「…後から来る」
「じゃあ冷ましておかなきゃ」
…主さまには敵が多すぎる。