その仮面、剥がさせていただきます!
「リツ?」
俯くと少し長い前髪。その奥の可愛らしい目がどうしたの?って言っている。
どうしたのって……こっちが聞きたいわ!
大体、『リツ』って誰よ?
頭の中はそんなことを考えているのに、何も言葉が出ず、放心状態のあたしに、王子の斜め後ろに座っているユメカが、あたしを見てなにやら口だけ動かしている。
『なんか、しゃべりなさいよ』
分かってるわ!!
「あ……あのさ。おう……じゃなかった。海道くん」
恐る恐る話しかけると、王子はこれまた笑顔で返してくれる。
「どうしてここへ?」
「どうしてって、俺、メール送ったよね。あ。リツからの返信なかったけど」
へ?メール?
あたしはスカートが捲れ上がるのも気にせず、ポケットの中からケータイを取り出し確認した。
ホントだ。王子からのお誘いメール。全く、全然気づかなかった……
「けど、なんで?」
あたしはてっきり王子にからかわれてるだけって思ってた。
「なんでって……お付き合いしてるんだから、お昼一緒に食べるのは当然だよ。そうだ、今日から一緒に帰ろうね」