その仮面、剥がさせていただきます!


「リツ?」


俯くと少し長い前髪。その奥の可愛らしい目がどうしたの?って言っている。



どうしたのって……こっちが聞きたいわ!



大体、『リツ』って誰よ?



頭の中はそんなことを考えているのに、何も言葉が出ず、放心状態のあたしに、王子の斜め後ろに座っているユメカが、あたしを見てなにやら口だけ動かしている。


『なんか、しゃべりなさいよ』



分かってるわ!!


「あ……あのさ。おう……じゃなかった。海道くん」


恐る恐る話しかけると、王子はこれまた笑顔で返してくれる。


「どうしてここへ?」

「どうしてって、俺、メール送ったよね。あ。リツからの返信なかったけど」


へ?メール?


あたしはスカートが捲れ上がるのも気にせず、ポケットの中からケータイを取り出し確認した。


ホントだ。王子からのお誘いメール。全く、全然気づかなかった……



「けど、なんで?」


あたしはてっきり王子にからかわれてるだけって思ってた。


「なんでって……お付き合いしてるんだから、お昼一緒に食べるのは当然だよ。そうだ、今日から一緒に帰ろうね」




< 20 / 256 >

この作品をシェア

pagetop