その仮面、剥がさせていただきます!
はいィ?
「それと、俺のことは『海道くん』じゃなくって名前で呼んでよ」
その方が自然でしょ?という王子に返す言葉が見つからない……
「『リツ』っていいでしょ?あれから色々呼び方を考えてたんだけど、俺も陸人で『りっちゃん』だから、ちょっと違った方がいいかなって。
あ。じゃあさ。俺は『リク』にしよ。ね?そう呼んでね」
結局、王子ばかりが一方的に喋っていた。
な、なんか疲れた……
王子が教室から出て行ったあと、ユメカ率いる隊員たちが集まって騒いでいたけど、疲れ切ったあたしは参加することもなく、そして、大好きなお弁当も半分も食ることが出来ず、無情にも次の授業の鐘が鳴った。
王子がよく分からない……
おっとりとした優しそうな話し方。笑うと形のいい唇の端がキュって上がって可愛らしいとは思う。笑わなくても、普通の顔も、どちらかと言えば女の子みたいな顔付き。
ううん。顔はともかく、王子といると精力を奪われるみたいに身体の力が抜けていく……
あたしはその原因をさぐるべく、王子に言われるままに、放課後昇降口で待っていた。
それが潜入捜査をする隊員の使命だと自分に言い聞かせて。