闇夜に笑まひの風花を
約束したもの。
忘れない、って。
ナノが私との約束を破ったことは、ないんだから。
動かない、ナノを見た。
血の気のない、ナノを見た。
白い花に囲まれて、ナノはますます白く。
触れた顔は冷たくて、硬い。
春の花のような、笑顔。
儚く、消えてしまいそうな。
私の大好きだったナノの表情。
けれどもう、その笑顔は作れない。
こんなに強張った顔では、笑顔を浮かべられない。
彼女が私に笑いかけることは、二度とない。
ねえ、アンジェ。好きよ。ずっと。私の一番の親友。
あなたのこと、忘れないわ。
ナノは、そう言った。
私に向かって、そう言った。
だったら、私をあまり悲しませないで。
ずっと私の傍に居て。
離れていかないで。
死なないで。
もう一度、あの笑顔を私に。
冬の寒さにも負けずに咲く、春の花を。
もう一度。
離宮の地下の一室。
本がたくさん置いてある部屋。
本棚の奥の、古ぼけた、一冊。
目に慣れない文字。
難しいけれど、習ったことのある文字。
本の表紙には、特殊文字が特別なインクで文字を施す。
『禁術』
それは、決して開けてはならない、奈落への道。
一頁目の、目次欄。
幾つかある中の最後に、その文字は書かれていた。
『死者の蘇生』
これは決して行ってはならない、禁じられた呪術である。