大切なもの
家の前に着いた。

「送ってくれて、ありがとう。
今日はゆっくり休んでね」
「ん。沙和もゆっくり休めよ?」
「うん。じゃぁ、また学校でね」
「じゃーな」

そう言って、一歩踏み出したかと思ったら、
「そうだ」
そう言って、再びこちらを向いた。

「どうしたの?」
「沙和に言いたいことあって」
「なに?」

樹は真剣なまなざしでこちらを見る。
だけど、その顔には優しさもあって――……。

< 154 / 219 >

この作品をシェア

pagetop