大切なもの
「俺、世界中のどんな女よりも、沙和が可愛いと思ってる。
世界中のだれよりも、沙和が大事。
この世の全てが敵になっても…俺は、ずっと沙和の味方だから。
誰よりも…沙和のこと、好きだから。
それだけは…覚えとけ」

そう言って、樹は帰っていった。

私は樹の姿が見えなくなるまで、ずっと樹のことを見ていた。


私の頬に、一筋の涙が伝った。


辛くも、悲しくもない。
冷たくも、ない。

とても、あたたかな、涙が。

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