【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】




知らない土地で、
ホテルやウィークリーマンション借りながら、
漫画喫茶やネットショップで一夜を明かしながら
何日も何日も通い続けているかもしれない
そんな弱者の立場の存在。




真人君の受け入れが決まった時、
勇生に話したら、『神楽ちゃんシステムか?』なんて
笑われたけど了承してくれた。


そしてそれがきっかけで、
母ももう一度帰って来てくれるようになった。


私でも、
家族の方と話をして
心を軽くしてあげることは出来るかもしれないわねって。





バラバラになってた家族も、
神楽さんはいとも簡単に
繋げてしまう。




だからこそ……
夢を見てしまいたくなるんだ。





バラバラになった俺たちも
家族として、
やり直すことが出来ないのかと……。



どせれだけ思っていても
素直に口にすることは出来ないけど。





「神楽さん、
 少し向こうで話をしてもいいかな?」



改めてそう言うと、
神楽さんはゆっくりと
ピアノの前から立ち上がって
隣の部屋へと向かった。



「お茶いれるよ」



ソファーに座らせた神楽さんに
声をかけながら、お湯を沸かして
ハーブティを淹れる。


マグカップに居れたそれを
彼女の前に出すと同時に、
コップに注いだ水と、
ポケットに用意していた飲み薬も手渡す。


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