Only One
――その頃、藤咲家では…
ドンッ
「はぁっ、はぁっ――智愛ッ!」
仕事の帰り道、油断していたせいで木下に捕まった郁人は、自白剤を打たれ、暴力をふるわれた。
自白剤が強力だったためか手も足を出ず、気付けば意識さえ失っていた郁とが目を覚ましたのはもう日が落ちていて、
家に帰ると…智愛が玄関先で倒れ、肝心な芹那がいなかった。
「智愛!智愛っ!しっかりしろ、智愛!!」
「ッ――ん、兄、貴…っ芹那!!」
木下に襲われたまま倒れていた智愛が目を覚ますが、遅かった。
「芹那…ッ!」
「おい、智愛!まさか、木下が――」
まだ郁人は状況を飲み込めていないようだったが、智愛はこの空っぽな家を見てすぐに分かった。
「芹那が…木下に誘拐された。」
「――ッ!!」