Only One



(芹那…どこにいるの?)


「はぁ…」


智愛の溜め息が、一段と室内の空気を重たくした。


「智愛、お前…」

「いいの、兄貴。私だけ休むことは出来ないわ。」

「―――」


そう言いながらも、落ち込んでいる智愛を、郁人が抱きしめる。

そんな二人の邪魔にならぬように、音海は少しだけ外に出ることにした。


キィ――


(芹那さん…皆、あなたの事を心配してるんですよ――)


こんな日に限って星がよく見える夜空を前に、虚しくなる音海は煙草を取り出したその時――


カシャンっ

「っ!?誰!?」


この家のフェンスに人影を見つけた。


「あの人――っ」


一瞬だけ、街灯の光に照らされた人相を見た音海は、すぐさま家に戻った――。



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