Only One
―――『もうすぐだ…もうすぐ、芹那は完全に俺のモノとなる――ククッ』
意識を失った芹那の髪を撫でながら、木下はかねてからの夢にひたっていた。
『この顔も…この肌も、髪も声も心も全部――俺が支配してやる。』
それは、カノンが死んで約3年――
初めて芹那に会ってから、持っていた木下の願望だった。
そしてその狂った願望こそが、木下を変えた原因――。
『――大丈夫、痛みなんて、いつかは忘れるものだ。』
どこからか持ってきた刺青用具をベッドに並べ、木下は刺青を入れる準備を刻々と進めていった――。
…まずは、刺青を入れる場所だ。
木下にとって、刺青は、芹那が自分のものであるという一番の証。
その証は、できることなら、芹那が一番目につくところにないと意味はない。
その証こそが、もっとも芹那を縛る道具になるのだから――…
『――ククッ』
その時、木下は小さく笑った。
どうやら、入れる場所を決めたみたいだった。
木下の視線の先は――芹那の右の手の甲だった。