亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
腕を組んで考えにふけるダリルに、リストは詰め寄る。
「……だから…………お前の力って……どういう意味だ…?…………お前……そんなことが出来るのか…?」
「えー?ダリル―、あんた力を使うの―!?あれって隊長のためだけに使うって決めてるんでしょ?………どういう風の吹き回し…?」
リストを押し退けてイブが言った。その背後で、アレクセイとリストは訳が分からず首を傾げるばかりだ。
「………隊長の声が聞こえたんだよ。…凄く必死な…なんだか泣きそうな声が頭の中で、ね。……もう近くまで来てるみたい。………それまで出来る事はやっておかないと…」
そう言って、ダリルは膝を突き、ゆっくりと…地面に両方の手の平を突いた。
「………試しに中のお兄さんに思念伝達してみるよ」
……やけに冷静に事を進める少年を見詰めながら、アレクセイはイブに小声で尋ねた。
「………彼は……一体何者なのですか…?」
「えー?知らないの―?国家騎士団も情報不足じゃん。ダリルは『理の者』だよ―。使わせたら超強いよ―」
「―――はぁ!?」
少し遅れてリストが驚嘆した。
「………『理の者』って………!?……そんな重大な情報なんて……」
「……………どんなに優れた能力を持っていても……人間、謙虚にいかないとね。……大っぴらにするんじゃなく、慎ましくすることが出世への近道なんだよ」
「………」
本当に同じ13歳?…と一瞬疑ったリスト。
そんな彼を完全に無視し、ダリルは半開きの目を閉じる。