亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
もっと近付けば、手を伸ばせば………届く所に。
キーツはもう一度、彼女の名を呼んだ。
―――ただいま。……会いたかった。………本当に…会いたかった。
伝えようにも伝え切れない、たくさんの思いを込めて。
「―――…ローア、………………………………………………………………………………」
それ以上は、声が出なかった。
…………………痛みなんて無いのに。
…………それ以上の何かが……大きな衝撃が。
唐突に。
唐突に。
…唐突に。
………キーツを襲った。
………思わず、ローアンは歩みを止めた。
…………目の前の光景が、信じられなかった。
…信じたく、なかった。
「…………………………嫌………」
キーツの胸に……。
………白い刀身の切っ先が、生えていた。
背中から真直ぐに。
深々と。
…綺麗な鮮血が滴る。
そこには慈悲も無く。
ただただ……。
残酷に。