亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「…………キーツ……様……」
「………」
ローアンの腕の中で力無くうなだれるキーツ。
その様子を見詰めるアレクセイは、半ば放心状態だった。
リストもわなわなと唇を震わせて………近寄ろうともせず、黙っていた。
溢れ出る血の量と彼の様子から………。
………死は、目に見えていた。
泣き喚くローアンの元へ駆け寄ろうとするイブを、そっとダリルが制した。
ダリルは無言で、頷いただけだった。
ルアとトゥラも少し離れた所で佇んだまま……それ以上距離を縮めようとはしなかった。
沈黙の中で、ローアンの悲痛な叫びだけが、響き渡る。
それはあまりにも………悲し過ぎて。
「………何処にも行かないで…!……何処にも………何処にも………!…………………………もう…目の前で死んでいくのなんか………見たくない………!!……………皆……私の、せいで………私のせいで……………!……………キーツ……キーツ………………せっかく………会えたのに…………………ここに……いるのに………」
肩に落ちた彼の顔は見えない。
………しかし、小刻みな呼吸音が微かに聞こえる。
生きようと、懸命な息吹が。
…………。
……………ローアン。
………会えた、な。
……会えたのにな。