亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
―――。
何時間にも感じられる様な数秒の、間。
完全に時が止まってしまった、この妙な空気を………ルアのくしゃみが打ち消した。
クシュン。
「―――っ………!?」
真っ青になったかと思えば耳まで真っ赤になり、それらを越して判別し辛い顔色になる、もはやパニック状態のローアン。
両手で顔を覆ったり、後ろを向いたり、言葉になっていない声を漏らしたり…。
最終的にはルアを盾にしたつもりなのか何なのか、ルアを掴んだまま屈んでその後ろに回り込み、隠れてしまった。
微動だに出来ないルアの後ろから、羞恥心からの困惑で震えに震えた甲高い声がポツリポツリと聞こえた。
「…………と……………とととく……特に深、い…意味は、無い!………な、な何となく……着てみようかなって……………しょし……………しししし……しょ……初心に帰る………というか…………だから…………だから………………………………………み………………見るな!!………は、恥ずかしい!!恥ずかしいから!!こんな格好……もう止める!!止めるから何処かに行け!!回れ右をしろ!!」
真っ赤になりほてった顔を覆い、ローアンは今この瞬間、真剣に…
…………死にたい
と切望した。
………よりによって……なんでこいつに見られるんだ。
混乱しきった頭は思考能力を鈍らせ、ローアンはただがむしゃらにルアの背中に顔を埋めていた。