亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「………………あ……………その………」
………ハッと、キーツは自分が何を言ったのかに一足遅く気付き、赤らんだ顔を隠す様に背けた。
「……………すま…ない…………」
何故か謝ってしまった。そうする理由など無いのに。
つい顔を背けたが、結局瞳は吸い寄せられる様に彼女の方へと泳ぐ。
意識自体が、どんなに止めても流れて行く。
……上品な青いドレスは、腰から下が花弁の様にふわりと広がっている可愛らしいデザインの物だった。
全体的にほっそりとしたシルエットで、両脇に垂れた腕は、男の自分とは違って女性らしく、とても華奢だ。
ドレスの青に映える豊かな金髪は腰の辺りまで長く、絹に似た光沢を放っている。
薄化粧を施されているのか、アーモンド型の目は大きく、形の良い小さな唇は薄い紅で染まっていた。
――――綺麗……。
……………それしか言い様が無い。
そんな彼女は………本当に恥ずかしそうに、顔を赤らめて俯いている。
…………。
…………可愛い…。
………もっと近くで見たい。
ぼんやりと見とれながら、頭の片隅でそう思った。
不意にローアンは俯いたまま、ぎろりとキーツを睨んだ。
少し潤んだ青い瞳は、別の意味でキーツの心臓を鷲掴みした。
「…………………………な……何を…………何を見てるんだ……!!………………さっさと出て行け馬鹿者!!」