亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
ローアンは落ち着かない様子で怒鳴り散らし、ワタワタとしながら一歩後退した。
………余程動揺しているのだろうか。
裾を間違えて踏んだか、ヒールが合っていなかったのか、ローアンはバランスを崩し、その場で膝を突いてしまった。
思わず駆け寄ろうとしたが………彼女はちらちらとこちらを睨みながら自力で立ち上がろうとする。
………ちょうど良い位置にいたルアが、支え台代わりにされている。
「………………………………生恥だ………………耐えがたい……恥だ………!……………………何故私は………こんなっ…………試してみよう…など、と………」
ブツブツと独り言を漏らし、懸命にバランスをとりながら立ち上がろうとする。
「……………人生、最・悪、の………汚点だ……!………………ああ……………駄目だ……………もう駄目だ…………立ち直れない気がする…………!」
………しかし………………正直、全然バランスをとれていない。
健気なのだが……頑張れば頑張る程、全て裏目に出ている様だ。
生まれたばかりの小鹿の様に、おぼつかない動きで高いヒールに打ち勝とうとするローアン。そしてルアは更に体重をかけられ、重度の猫背になっていく。
(……………)
………見ていられない。
勝ち気な彼女には誠に申し訳無いが……同情に似た感情を抱きながら、苦笑を浮かべてローアンの元に歩み寄った。
ガクガクと震える膝を押さえ、再度立ち上がろうと構えたローアンの腕を、いつの間にか目の前に来ていたキーツがそっと掴んだ。