亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~



「………丘近辺は振り分けた第1部隊の内の一つ。第3部隊はその後ろに配置だ。……総隊長と我らの移動方法と配置は頭に入っているだろうな…?」


薄暗い室内で、感情の無い声が淡々と続き、虚しく響く。

それに対し、姿勢を正すどころか頬杖を突いた状態で、さも退屈そうなやる気の無い声でジスカは答えた。

「―――………覚えてますよ……っと……」

片手は自分の長い髪の先を弄り、枝毛を見つけては裂いていた。

上司を前にしているとは思えない程の不真面目な態度だが、ベルトークは特に、何も咎めようとはしない。

「………総隊長は自由気ままに単独行動。………俺とベルトーク隊長は、最初の作戦1では各部隊と共に戦闘……作戦2からは合流してご一緒に行動………………そんなでしょ?移動方法は“闇溶け”。総隊長はそれと、召喚獣……」

「理解しているなら良い。……ライマンの使い方は?」

ジスカは眉をひそめる。

「………前線配置。逃走兵の駆除。“闇溶け”による盾。各師団の長を見つけ次第、即標的に。ジワジワ痛め付けるために、頭では無く、なるべく足に齧り付く事………骨の髄まで……ガリガリガリガリ…手足をもぎ取って…………」

「答えは要約しろ。……理解している様だな」

ベルトークは片目のレンズをずらし、テーブル上の広げた地図に……勢いよく手を突いた。


テーブルが揺れる。


…ズイッと、目の前にベルトークの氷の様な目が飛び込んできた。


「…………何だよ隊長」

「………何をやけになっている?」

ベルトークはにやりと薄ら笑みを浮かべた。


……ふん………ゾッとするぜ。その顔。
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