亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「………別に。………やけになんかなってませんよ?……むしろ……………………やけになりたいね」

ジスカは嘲笑を浮かべた。
垂れた前髪から覗く赤い瞳も、何だか笑っている様だった。

「真面目な自分が嫌になりますよ。……………俺らしくもない」

「………最初……作戦にお前は入れないつもりだった」

「……………ハブりですか?……心外だなぁ―、ちゃんと働いてるのに」

せせら笑うジスカを、ベルトークは冷たく睨んだ。

「………お前は、『トウェイン』と仲が良かったな?」

……ジスカはやる気の無い半開きの目を、ゆっくりとベルトークに向けた。口元の笑みは引っ込み、笑い声は消えた。

「……………今は敵側となった奴に、情けをかけてやるのではないか……と思ってな。……………困るのだよ。………下らない情の一つで、全てに歪みが生じるのはな」





…………下らない。…………………ああ、下らないね。………あんたの言う通りだ。







意味深な笑みを浮かべ、スッと…ベルトークから視線を逸した。

「………ご心配には及びませんよ…隊長。…………………復讐で感情は無縁だってこと……最初から分かってます……」


















そう。

これは復讐。



先の見えない、復讐。




何を得て、何を失うのか、分からない復讐。









何も無いのかもしれない。


















自分も、無くなるのかもしれない。



















だったらいっその事。


















「………目茶苦茶にすればいい」









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