亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
ギョロギョロと動く青い目は、キーツを真直ぐ映していた。
……キーツは苦笑を浮かべる。
………とんでもない怪物に……狙われてしまった様だ。
ふと気が付くと、ルアの姿が無い。城の方へ向かったのか。…………アレクセイを呼びに行っていたり、していないだろうな?
(―――………殺れる………か…?)
………自らに問い掛けても、答えは無い。
ここは武運に頼るか、神頼みしか無いが……。
(…………アレスよ……………………………貴方様は何故こんな……厄介なものを生み出されたのだ……)
この怪物を造った張本人に神頼みしても仕方無い様な気がするが。
―――……キーツは黙って剣を構えた。
「―――……はぁ…………………っ………は…」
激しい痛みの中で、ローアンは荒野に現れた巨大な怪物を見た。
側にいるトゥラが、牙をむき出しにして唸っている。
……この子にしては珍しく、震えている。トゥラが怖がるなんて。
ローアンは頭を抱えてゆっくりと立ち上がった。
うまく足に力が入らない。
よたよたと足を動かして前へ進んだ。
(……………いけない…………身体が………)
剣を杖代わりに、少しずつ………前へ、前へ。
容赦無く近寄ってくる影を、代わりにトゥラが次々と倒していった。
「トゥラ………私に構うな……!お前は早くここから……」
―――風が、吹いた。
全てを凍らせる様な、冷たい…………冷たい。
覚えのある、この感覚。
身体の芯から、震える様な…………恐怖が。
「辛そうだな……………トウェイン」