亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
黒い突風は城の扉へと続く長い階段を昇って行く。
緑の大理石の階段は、六年振りに初めて通行を許した。
揺れる視界に、大きな扉が映った。
……………堅く閉ざされた扉。
あの口が、開く時が来た。
目前まで来た時、オルカは急停止した。
―――途端、クライブの手が離れ、ローアンは大理石の上に、乱暴に放り投げられた。
冷たい地面に叩き付けられ、うっ…と呻くローアン。
………足音が近付いてくる。
両手を突いて震えながら起き上がると、後ろから髪を掴まれた。
結っていた髪は完全に解けてしまっている。長い金髪をグイッと引っ張られ、強引に顔を上げさせられた。
見上げた先には、クライブの冷たい笑み。
「……………この紋章の上に乗れ。……………扉を……………開けてもらうぞ………」
「―――あっ…!」
髪をつかまれたまま、国の紋章が彫られた床の中央まで引き摺られた。
緑色の光を放つ紋章は、ローアンが中央に倒れ込んだ途端、更に光量を増した。
………身体が………熱い………?
冷えきっていた身体が、芯から熱く………。
…………頭が痛い…。
……………身体が痛い。
「―――…………うあ………あ…………あ………………あ………」
ガクガクと身体が震えた。
壊れていく。
そんな感覚が、襲って来た。
ローアンは目を閉じた。
苦しくて……涙が流れた。
「…キーツ……!」