亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
身を捻っても、腕一本は持って行かれる。
避けられない事態に覚悟して、目を瞑った。
………グイッと、強い力が腰のベルトを掴んで引っ張った。
キーツの身体は大きく傾き、間一髪のところ、スレスレで斧の刃が通り過ぎて行った。
うわっ…!、と地面に俯せに倒れる。
……何が起こったのか…訳が分からないまま起き上がろうとすると、正面から聞き慣れた声がした。
「――…キーツ様、昔から言っておりますが……物事は常に、今あるものを片付けてから新しいものに取り掛かって下さい………さぁ、お立ちになって。死にたいのですか?」
「………………こんな時まで……うるさいぞ、アレクセイ」
顔を上げると、剣を手に静かに微笑むアレクセイが見下ろしていた。
そのすぐ側にはルアもいる。
………やっぱり…呼んだな、ルア。
「………いやはや、驚きましたぞ。ルアは駆け込んで来ますし、荒野に出れば城の扉は開きますし………どれから手を付けて良いものやら…」
振り下ろされた斧が、こびりついた土砂をボロボロて落としながらゆっくりと上がっていく。
アレクセイは「ほぉ―…」と目の前の怪物を見上げていた。
「………書物で見たことが御座います。古代…神々の戦いで造られた怪物で………親であるアレスに刃向かい、大地を粉々にしてしまったとか。………それから捕らえられ、魔の者の監視下に置かれたそうで御座います。……………伝承と違う点は………やや大きすぎる所でしょうか……」
「………神話には興味無い。そんなことより………アレクセイ、お前は城へ行け!この怪物は………どうやら俺を殺さないと気が済まないらしい。……俺が…奴の注意を引きつけておく……」
避けられない事態に覚悟して、目を瞑った。
………グイッと、強い力が腰のベルトを掴んで引っ張った。
キーツの身体は大きく傾き、間一髪のところ、スレスレで斧の刃が通り過ぎて行った。
うわっ…!、と地面に俯せに倒れる。
……何が起こったのか…訳が分からないまま起き上がろうとすると、正面から聞き慣れた声がした。
「――…キーツ様、昔から言っておりますが……物事は常に、今あるものを片付けてから新しいものに取り掛かって下さい………さぁ、お立ちになって。死にたいのですか?」
「………………こんな時まで……うるさいぞ、アレクセイ」
顔を上げると、剣を手に静かに微笑むアレクセイが見下ろしていた。
そのすぐ側にはルアもいる。
………やっぱり…呼んだな、ルア。
「………いやはや、驚きましたぞ。ルアは駆け込んで来ますし、荒野に出れば城の扉は開きますし………どれから手を付けて良いものやら…」
振り下ろされた斧が、こびりついた土砂をボロボロて落としながらゆっくりと上がっていく。
アレクセイは「ほぉ―…」と目の前の怪物を見上げていた。
「………書物で見たことが御座います。古代…神々の戦いで造られた怪物で………親であるアレスに刃向かい、大地を粉々にしてしまったとか。………それから捕らえられ、魔の者の監視下に置かれたそうで御座います。……………伝承と違う点は………やや大きすぎる所でしょうか……」
「………神話には興味無い。そんなことより………アレクセイ、お前は城へ行け!この怪物は………どうやら俺を殺さないと気が済まないらしい。……俺が…奴の注意を引きつけておく……」