亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
受け身を取り、オーウェンは二人からだいぶ離れた場所に降り立った。
雲を遮る様な巨大な姿。
怪物の不気味な双眸はキーツしか映していない。
濁った視界の中、額から流れる血を拭いながら、キーツがこっちを振り向いた。
………余裕を感じさせる笑み。
鮮やかなオッドアイは、真直ぐ……何かを訴えるかの様に、自分を捉えていた。
「………オーウェン……!!……………………………………頼んだぞ…」
…………。
オーウェンは槍を肩に抱え………キーツに背を向けた。
前を遮る影を切り刻み、城へと走った。
後ろからルアの気配がする。
「―――…死ぬなよ!!」
背中に投げ掛けられた、遠いキーツの声。
オーウェンは一度も振り返らず、真剣な面持ちで叫んだ。
大声で。
「―――………その台詞、そっくりそのまま返す!!」