今夜、俺のトナリで眠りなよ
「頑張るの、疲れちゃった」

「あんたは頑張り過ぎなんだ。くそっ。マジで腹立つ」

「ごめんね」

「謝るな。謝る前に頼れよ。俺を利用しろよ。頼むから、こんな風に疲れたあんたを抱きしめるのは嫌だ」

 一樹君が、着ているコートを私の肩にかけてくれた。

「家に帰ったら、覚えてろよ。無茶苦茶に抱いてやる」

「ちょ…待って。ちゃんと場所を言ったわ」

「ふざけっ。どれだけ俺が心配したか、その身体に教え込んでやる。もう二度と、そんな無茶振りはさせねえようにな」

 一樹君が、私を抱き上げた。

 お姫様抱っこで、私は車の助手席まで連れて行かれる。

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