今夜、俺のトナリで眠りなよ
―一樹side―
「気にすんな。もう飲み会はほとんど終わってるから」

 じゃあな、と俺は言うと携帯電話を切った。

「何が、もうほとんど終わってる……だよ。勝手に終わりにしやがって」

 ビールを飲み干した新庄が、苦笑を浮かべた。

「せっかく隣の席の女の子たちとカラオケに行く話がついたのに。もう帰るのかよ。勿体ねえなあ」

 ギムレットを飲んでいる船橋が、俺の肩をバシバシと叩いた。

「駄目、ダメ。増岡はそういうの大嫌いだから」

 新庄が、手を振って渋い顔をした。

「あれだろ? 本気で好きになった女にしか優しくしねえってヤツだろ。世の中は女で溢れてるんだぞ? すんげー損しているよ」

「そうでもない」

 俺はにっこりと笑うと、船橋が「はいはい」と適当に返事をした。

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