今夜、俺のトナリで眠りなよ
 私が疲れているから?

 お義母さんに、嫌味ばかり言われて落ち込んでいると思ったから?

「一樹君、一つ……聞いてもいい?」

「ん?」

「お母さんって、どんな人?」

「どっちの『おかあさん』を聞いてる? 養母?産みの親?」

「産みの親」

 私は乾いたタオルを手に取ると、山積みになっている濡れた食器に手を伸ばした。

「一言で片づけるなら、家庭的な人だよ。優しくて、温かくて……親父だけを一途に愛してた」

「一樹君も……」

「質問は一つだけだろ?」

 ちらっと横目で見た一樹君が、にっこりと笑う。
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