今夜、俺のトナリで眠りなよ

「作れるタマかよ。不器用なあんたが、同時に二人の男を手玉に取れるのかよ。それより離婚っていう道もあるってこと。兄貴に愛されようと努力する道もいいかもしれねえけど。誰かを愛する道もあるってことだ」

「誰かを愛する……か」

　私は一樹君の言葉を呟くと、ふと顔をあげた。

　視界にはコーラを飲む一樹君がうつる。

「あー、うめえ」なんて吐きながら、『ゲッ』っと下品なげっぷを出している。

「ちょっと、やめてよ」

「何だよ。風呂上がりの醍醐味だろ。コーラ片手に、豪快なゲップ！　これぞ、ザ風呂上がりって感じだろ？」

「どこが？」

「ま、女にはわからねえな。この爽快感は」

　ケラケラと一樹君が笑った。

「何よ、それ。別にわからなくて結構よ」

「あー、そうですか。すんげえ、気持ち良いのに」

　一樹君が、コーラを持ったまま、部屋を出て行った。