今夜、俺のトナリで眠りなよ
「考え過ぎなんかじゃない。僕を失脚させる基盤を作っているんだ」

「まさか。優樹の考え過ぎよ。あの子は愚弟なんでしょ?」

「いや。一樹は何か、企んでいるに違いない」

「大丈夫よ。優樹は会社の社長よ。あの子はただの大学生。それに未成年よ。何もできないわ」

「あ、ああ。そうだな。一樹はまだ……未成年だし、愚弟だから」

「そうよ。優樹は優秀な男性よ。ねえ、そろそろ上に行かない?」

 ちゅっと二人がキスをする。

 私はその場を離れた。ロビーを歩いていると、ブライダルサロンの前で足を止めた。

 真っ白で綺麗なウエディングドレスが飾られている。

 隣には、胸元の大きくあいた深緑色のドレスが並んでいる。

「もう一回、結婚したくなった?」

 背後から声をかけられて、私は振り返るとそこには一樹君が立っていた。
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