今夜、俺のトナリで眠りなよ
「ちょっと待ってよ。私の同窓会なんだよ」

「わかってる。だから、このスーツ」

「駄目よ。もっと明るい色のがいい。今着ているワンピースにする」

「嫌だ」

 嫌だって……言われても。

「私、『綺麗なったね』とか『可愛いね』って言われたい」

「それは俺がわかってればいいんだよ」

 私はぴたっと動きを止めると、一樹君の顔を見た。

 さらっと凄いことを言われた気がする。

 一樹君の言葉を思い出すと、かーっと顔が熱くなるのがわかった。

 ずるい。そんなことを言われたら、一樹君の我儘を受け入れちゃうじゃない。

 私は、ベージュのスーツを手にとった。

「わかった。これで行くよ」

 私はスーツをハンガーから外すと、畳んで旅行鞄に詰め込んだ。

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