今夜、俺のトナリで眠りなよ
 私はダイニングテーブルに座って、紅茶を飲んでいる。

 カップを受け皿に戻すと、「うん」と頷いた。

「まあまあ」

 何がどう『まあまあ』なのか、と問われても困るけど。

 仲が良い夫婦とは言えないし。かといって仲が悪いとも言えない。

 優樹さんが浮気をしているのを知っていて、私は容認している。

 少し前までの私だったら、浮気している優樹さんを許せなかったと思うけど。

 なんでかな。優樹さんが浮気しているのを、何とも思わなくなってきている私がいる。

 きっと一樹君のおかげなんだと思う。

 私の気持ちが、一樹君に向いているから。優樹さんは夫だけど。夫として、妻の私を見て欲しいっていう気持ちが薄れてきている。

 それが良いことなのか。悪いことなのかわからない。

 世間一般から見れば、悪いのだろう。夫婦なのに、互いを愛し合えてないのだから。

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