今夜、俺のトナリで眠りなよ
「お父さんが良縁だって喜んでいたけど、本当にそうだったわね」

 お母さんが私に背を向けたまま、嬉しそうに口にする。

「そ…だね」

 私がカップの取っ手を掴んだ。

 全然、良縁とは言えないよ。私、優樹さんに愛されてないもの。

「あとは子どもね。早く妊娠しないかしら」

 無理だよ。私、まだ……未経験だから。

 結婚して3ヶ月以上も経つのに、優樹さんに触れられたことがない。

「お母さん、あのね」

「なあに?」

 お母さんが手を止めて、笑顔で振りかえる。

『私、優樹さんに愛されてないの』

 そう喉元まで出かかって、言葉を飲み込んだ。

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